館長日記

進学塾弘文館ブログ

進学塾弘文館は、佐賀県の片田舎の進学塾です。思いついたことを、気ままに書いていこうと思っております。

道徳教育(1)

 私は道徳という教科は最重要で学ばなければならない教科であると考えています。まず、最初に強調しておきます。教育の目的が若い人たちの人格を形成することであるなら当然のことです。しかし、道徳を教科として学ぶことには違和感があります。

 教科として学ぶのであるなら、テストもあるし、通知表もつけなければならないということになります。第一に考えなければならないことは「子どもたちは、大人を見ている。」ということです。子どもたちは大人の言動を見ていて、「ここはこのような言動をしたほうがいい」「ここではこのような言動は控えたほうがいい」ということを常に考えています。空気を読むというやつです。テストでいい点数をとるためには、本音はともかく他所に置いて、先生が期待している答えを出すでしょう。授業でも先生が期待している発言をするようになるでしょう。他人の顔色を窺うのがうまい生徒がいい成績を出すということにつながります。人格形成を目的とする教育とは違うのではないかと思います。

 今まで書いてきたことが杞憂だったとします。そこでもうひとつの問題が発生することでしょう。マイケル・サンデル教授の白熱教室を読んだことのある方は多いのではないかと思います。現代のような多様な価値観が存在する時代には「正義」ということひとつをとっても多様な意見があって白熱するのです。それも、世界的に一流といわれるハーバード大学の学生の中でのことです。そこで出てくる意見は、どれが正しくて、どれが間違いであるか判定するのは困難です。道徳を教科として扱うということは小中学校の先生方は多様な意見に対して、正しいか間違いかを判定しなければいけなくなるということになります。現実問題としてそのようなことが可能なのでしょうか?

 文部科学省はじめ関係各位には慎重に判断していただきたいと思っています。