館長日記

進学塾弘文館ブログ

進学塾弘文館は、佐賀県の片田舎の進学塾です。思いついたことを、気ままに書いていこうと思っております。

人物本位入試(3)

 前回、人物本位入試は、「大学入試に合格することが目的化し、高等学校で本来養うべき多面的・総合的な力の育成が軽視されている。」(課題1)という問題についての解決策にはなりにくいということをお話いたしました。解決するためにはむしろ、成績本位の制度が必要になるでしょう。

 それでは、「大学入学者選抜で実際に評価している能力と本来大学が測りたいと考えている能力の間にギャップが生じ、学生にとっても大学入学後の学びにつながっていない。」(課題2)という問題についてはどうなのでしょう?

 少し前に早稲田大学の入試問題でさかさまの世界地図を見て小論文を書くという問題が出題されました。当然のことながら出題者は「この地図はさかさまです。」という解答は期待していないはずです。「見慣れたものでも視点を変えたら見方が変わる。」というような内容の小論文を書くことになるのではないかと思います。出題者はそのような発想ができる人物を入学させたかったと考えることができます。課題2を解決するためには、このように各大学が入試問題を工夫して、どのような人を入学させたいのか?どのような学生を育てたいのかを鮮明にするしかないように思います。少なくともハイレベルな知力が必要とされる大学入試の現場では、成績を最重要視するほうが「高等学校で本来養うべき多面的・総合的な力」を見ることができるし、「大学入学者選抜で実際に評価している能力と本来大学が測りたいと考えている能力の間にギャップが生じ」ることもないでしょう。